2007年12月11日火曜日

本日の化石賞

バリ会議報告 本日の化石賞!
2007年12月5日
 2007年12月3日にインドネシアで始まった、国連気候変動バリ会議。世界が注目するこの会議の初日、日本の発言に注目が集まりました。「日本は「京都」を捨てようとしている?」日本政府は温暖化の「促進」に貢献する国に贈られる「本日の化石賞」も受賞しました。

 日本が「京都」を捨てる!?

 「京都議定書」の約束期間が終わる2013年以降に、世界がどのような国際枠組みを作るかが、今回の会議の焦点です。その初日の午後に、「京都議定書」の親条約である気候変動枠組み条約の全体会議が開催されました。その中で行なわれた、「長期的な協力のための対話」のセッション(対話)の中で、日本政府代表団は「京都を越えたすべての国が参加する新しい枠組み」を提案。この表現に非難が集中しました。

 「京都議定書」の一番の特長は、条約を批准している先進国が国別に温室効果ガスの削減目標を持っていること。しかし、今回の日本の提案は、そのことについて全く触れずに、むしろ「セクター別のアプローチや、官と民の協力」などを、重点としてあげています。しかし、このことは、「日本が、京都が生まれた10周年記念の今年に、京都を葬り去ろうとしているのではないか?」という、参加国の疑念を引き起こしました。

 WWFも参加している、国際気候変動NGOの集まり「気候アクションネットワーク(CAN)」も、強く反発。日本のNGOが中心となって、会場で配布されるロビーペーパーである「ECO」に「日本は京都議定書を捨てようとしているのか?」という記事を掲載しました。その中で、WWFジャパンをはじめとする日本のNGOは、「もし日本が京都議定書をなきものにしようとする意図ではないのなら、すぐにそのポジションを明らかにして、2020年までの日本の提案する数値目標を出すように」と促しました。 

 「本日の化石賞」を受賞

NGOによる「化石賞」発表の様子

 日本政府の発言に対する強い反発は、あくる2日目もやみませんでした。この日は、世界から集まった気候変動関連のNGOメンバー100人の、ほぼ全員の意見が一致した末、日本は「本日の化石賞」を受賞してしまったのです。

  「化石賞」とは、国際NGOが、その日の国際交渉の中で、もっとも交渉を妨げている国を「化石」であるとして表彰する、極めて不名誉な賞です。しかも今回、日本は化石賞の1位、2位、3位を独占してしまいました。

 1位を受賞した理由は、「(京都議定書の柱である)数値目標をなきものにして、規制の緩い自主行動へ移ろうとしている」こと。2位の受賞理由は、「京都議定書が生まれた10周年に「京都議定書を超えて、新しい枠組み」を提案し、議定書を亡きものにしようとしている」こと。そして3位は、「(温暖化防止のための)技術の途上国などへの移転の議論を、技術的な話し合いの場(SBSTA)ではなく、実施のための話し合いの場(SBI)に持っていくことを妨げている」こと、でした。
  いずれにしても、バリで決められるべき2013年以降の話し合いのプロセスと中身を決める「バリ・マンデート(もしくは、バリ・ロードマップ)」の採択に向けた議論と進展を、著しく妨げたことを理由とした受賞になりました。

 日本政府が、アメリカを意識しすぎるあまりに、アメリカの現政権が参加しやすいような、ゆるい枠組みの話し合いのプロセス作りに奔走し、自らの削減目標を明らかにしないことに対して、世界の市民社会の目が集中しています。
  IPCCは、危険な気候変動の悪影響を避けるためには、2020年までに先進国全体で25%から40%が必要であると明言しました。今こそ日本政府は、それに応える決意を世界へ向かってはっきりと示すべきです。(WWFジャパンHPより引用)