2011年5月2日月曜日

駐車場のおじさん


日曜日の朝ときどき、藤崎のロイヤルホストにパンケーキ

を食べに行きます。

一人で行ったり、子供連れで行ったりと様々ですが

もう行きだして10年位になります。

ときどきがどれ位の頻度かは、意識してはいなかったので

良く覚えていませんが、何カ月ぶりだったり、月に1・2回

だったり本当にばらばらです。

そして駐車場にはいつも、一人のおじさんがいました。

おじさんはいつもとてもいい笑顔でみんなに挨拶をしていました。

雨の日も、風の日も、雪の降る日もいつも外の駐車場にいました。

お店を改装した際、駐車場もコイン式になりあのおじさんも

いなくなったのかと思ったら、いつもと同じように同じ笑顔で

そこにいました。

仕事の内容がすこし変わり、帰り際におじさんがコインを入れてくるようになりました。

子供がコインを入れたがれば、背の届かない子をちょっと抱えて入れやすいように

してくれていました。

決して余計な会話をすることもなく、いつも通りに挨拶をして一言二言話す

程度でした。

私にとっては、日常の当たり前の風景と、日常の平和な心地よい一コマでした。

それが、ここ2~3回はおじさんがいないことに気付きました。

最初はたまたまかなと思い気にしてなかったのですが

気になりだした時に、発見しました。

2階に上がるエレベーターの中と、コインを入れる精算機の横に

綺麗な字で濡れないようにコーティングをした一枚の手紙が貼ってありました。

以下


駐車場 警備員

〇〇〇〇〇〇

「新緑の香りが漂う時節となりました。皆様には益々
ご健勝の段大慶に存じます。
私事にて洵に恐縮でございますが本日は退職に伴いう
御礼の挨拶をさせて頂きたいと思います。
私は今度古希を迎えついに老兵と言われる年齢に達して
しまいました。
そこでこの際引退をし、故郷(兵庫県明石)にて余生を静かに
過ごすことに致しました。
在職11年の長きに亘り無事職務を全う出来ましたことは
偏に皆様のご高配の賜と衷心より感謝致すところでございます。
今・・そっと!・・目を閉じますと皆様お一人お一人の素敵な
笑顔や掛けて下さった暖かいお言葉の数々がまるで走馬灯
の如く次から次へと頭に浮かんで参ります。
私にとりましてはそれは懐かしく又素晴らしい思い出であり、
きっと先短い老後の慰めとなってくれることと思います。
本当に有難うございました。
最後になりましたが、皆様のご健康とご多幸を心からお祈り
申し上げお別れの挨拶とさせて頂きます。

又、いつか どこかで 逢えればいいですネ!!」


                     以上


身の上話をする間柄でもなく、もちろん辞めることなど、いや

おじさんの年齢すら気にしたこともいのに・・・。

いなくなるとわかっていればもう少しいろんな話が聞きたかった。

きっとたくさんのおじさんファンがいたのだろう。

それでお店も手紙を貼り出したのだと思う。

「駐車場の警備員のおじさん」

仕事とは何か、仕事を超えたものは、人としてどう生きるかを

深く考えさせられる出来事でした。